ステランティスは今後4年間で米国に130億ドルを投資し、米国内の完成車生産を約50%増、5,000人超の雇用創出を見込むと10月15日に発表。投資対象はイリノイ、オハイオ、ミシガン、インディアナの各工場。新型車5車種の投入と19の商品改良を含む。これは同社史上最大規模の投資と説明している。
新CEO アントニオ・フィローサ(2025年6月就任)は、この投資が対米関税への備えと米国事業の立て直しと発表。
近年の米国向け輸入車への関税負担(2025年見込み約17億ドルとReuterが報道)を織り込んだうえで、現地生産比率を高めるローカライゼーションが狙い。今回の投資は、輸入台数の多さ(2024年の米販売の相当部分が輸入)への対策として位置づけられている。
前CEO カルロス・タバレスは2024年6月の場で、米国対応の遅れを指して自らの「傲慢さ(arrogance)」に言及しており、米事業の課題認識は公知である中で、新CEOの元とられた施策が今回の発表であると考えられる。
また、ステランティスの米国投資は、GMやフォードが戦略を見直しつつある文脈(ハイブリッド強化や計画調整)と歩調を合わせ、内燃/ハイブリッドを含む多様なパワートレインでの競争力確保を狙う位置づけも今回の投資にはあると推察される。
アイシン(7259)とステランティスの関係性
アイシンは2023年にステランティス「Supplier of the Year」を受賞。また、アイシン・ヨーロッパとステランティスはATギアボックス修理での戦略的パートナーシップを公表している。アイシンの統合報告書2025年にも「北米拠点では、トヨタやステランティス向けにHEVの供給を開始」との記載がある。
米国での生産拡大・部材現地化の流れにより、北米で供給実績・拠点を持つサプライヤーには機会が生じやすい中で、アイシンにはビジネス機会があると予想される。日本勢は既にグローバルTier1としてプレゼンスがある。